「インドネシアの米作り体験」−小学校5年生
       -総合的な学習の時間の取り組み−   
                      ジャカルタ日本人学校 教諭 佐藤裕之
 
 私は本年4月から,インドネシアのジャカルタ日本人学校に勤務し小学校5年生を担任しています。5年生は,総合的な学習の時間のテーマとして「インドネシアの産業を調べよう」を設定し,一年間取り組むことにしています。これから,1学期の取り組みの概要についお知らせしたいと思います。
 社会科の学習と並行して,農業(米作り)について学習を進めました。6月,インドネシアの生活や文化・歴史等についてレクチャーをしてくださる日本人ボランティアの方々をゲストティーチャーとして学校に招き,インドネシアの米作りについての説明を受けました。主な生産地や生産量・米作りの手順・米の種類・灌漑の方法・現状と課題等について,スライドやビデオ,実物の提示などを通して具体的に学習し,また,ご飯(白米・黒米)の試食体験もしました。児童は,熱帯に位置するインドネシアの米作りを日本の場合と比較しながら具体的に知ると共に,米作りに対する興味・関心が高まったようでした。
 7月,学校から車で10分のところにある交流田において,田植えの体験学習を行いました。一年中暑いこの国では,二毛作が可能であり,田植えをしている田のすぐ隣で稲刈りをしている光景が見られます。さて,ほとんどの児童は,田植えの経験はありません。不安と期待を胸に,交流田の管理をしてくださっているハジさんから手植えの方法を説明してもらい,さっそく田植えに挑戦しました。素足を包み込む土の感触に歓声をあげながら,一束ずつ丁寧に差し込んでいきます。最初は不揃いだった苗の列も次第に整ってきます。足腰の痛みを訴えつつも,慣れてくるに従い,リズミカルに植えることができるようになり,楽しくなっていきました。田植えを終えた児童は「最初は,身動きがとれず苦労したが,やっているうちにだんだん楽しくなった。」「こんな大変な思いをして米作りをしていることを初めて知った。」などの感想をもちました。初めての田植え体験は,子供たちにとって忘れられない貴重なものとなったようです。9月には早くも収穫ができます。児童たちは,今から稲刈りをすることをとても楽しみにしています。
 また,これ以外にも製茶工場の見学や茶摘み体験も行いました。
 安全上の理由から,校外学習を実施する際には様々な制約が加わることが日本人学校ならではの課題です。しかし,現地理解教育を進める上でも,このような機会は貴重だと思います。